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弁護士法人心 木更津法律事務所

競売申立された不動産を任意売却できるのはいつまで?

  • 文責:所長 弁護士 本吉政尋
  • 最終更新日:2025年1月7日

持ち家(マイホーム)のある人が借金を滞納していると、持ち家を競売にかけられてしまうことがあります。

特に住宅ローンを滞納していると、その危険性は非常に高いです。

競売への対策の1つに「任意売却」というものがあります。

競売では強制的に家を売られますが、任意売却は自分で家を売ることになります。

どちらにせよ家が売却されることに変わりはないのですが、任意売却には競売にないメリットがあります。

そのため、持ち家が競売に出されそうになった場合、任意売却を選択する人も多いです。

はたして、任意売却にはどういったメリットがあるのでしょうか?

そして、競売開始決定後、いつまでなら任意売却できるのでしょうか?

1 競売と任意売却について

そもそも、競売と任意売却は何が違うのでしょうか?

⑴ 競売

競売(けいばい・きょうばい)について、ここでは不動産競売のことを指します。

主に住宅ローンの債権者が、債権回収のために、返済を滞納している債務者に対して実行します。

住宅ローンの債権者は、融資の際に債務者の住宅に抵当権を設定します。

債務者から返済を受けられなくなった債権者は、抵当権を実行して住宅を競売にかけて売却します。

その売却代金から債権を回収することが、不動産競売の目的です。

⑵ 任意売却

任意売却は、不動産の持ち主が債務を弁済するために家を売ることを指します。

こちらも通常は住宅ローンの返済のために行われます。

まず、住宅ローンの返済をするための現金を用意できなくなった債務者が、家を売ってその売却代金で債務を弁済することを債権者に提案します。

住宅ローン支払い中の家には抵当権が設定されているため、そのままでは買い手が見つかる可能性が低いです。

そのため、債務者と債権者が交渉して抵当権を外し、その後で住宅を売り、売却代金で債務を弁済する旨の合意を行います。

住宅の売却代金で債務を完済できない場合は、債務者の他の財産も加えて弁済するか、残債務を分割払いするなどの条件で合意をします。

2 任意売却のメリット

競売に比べて、任意売却には以下のようなメリットがあります。

⑴ 競売よりも高く売却できる

同じ家を売っても、競売では市場価格よりもかなり安い価格で買い叩かれてしまいます。

一方、任意売却ならば市場価格に近い額で売ることができます。

競売も任意売却も、売却代金で債務を弁済することに変わりはありません。

売却代金で完済できなかった部分は自分の財産を使って一括または分割で弁済する必要があります。

高く住宅が売れれば自分の負担を減らすことができるため、競売よりも任意売却を選ぶことをおすすめします。

⑵ 引っ越しの融通が効きやすい

競売は住宅の所有者の意思に関係なく行われ、引っ越し時期の交渉もできません。いつまでも居座っていると強制執行によって追い出されてしまいます。

一方の任意売却は、買主との交渉次第で住宅の引き渡し時期をある程度調整できます。引っ越しの時期を多少なりとも選べるのは競売にないメリットです。

⑶ 競売を取り下げてもらえる可能性

必ずというわけではありませんが、債権者が任意売却に応じてくれると、競売を取り下げてくれる可能性が上がります。

任意売却で家が高く売れて、その売却代金から弁済を受けられるのであれば、債権者としてもそれに越したことはありません。

わざわざ競売にこだわる必要はないのです。

もちろん、任意売却の合意をしても、競売を取り下げてもらえないこともあります。

任意売却の売却額が競売の売却額より低い見込みの場合などです。

その場合は任意売却と競売が同時並行的に進みます。

3 任意売却はいつまでに行えばいい?

債権者に競売を取り下げてもらえればいいのですが、そうでない場合は任意売却を急ぐ必要があります。

いつまでに任意売却を行わなければならないのでしょうか?

⑴ 期限は「開札日の前日」

当たり前ですが、競売が終わってしまえば任意売却はできません。

そして、任意売却で家を売ったとしても、裁判所で競売の取り下げをしなければ競売手続きが進んでしまいます。

債権者に競売を取り下げてもらえるのは、競売の開札日の前日までです。

規定上は「落札者が代金を納付するまで」が取り下げの期限ですが、落札者が決まった後に取り下げを行うには、落札者の同意を得る必要があります。

そしてその物件を欲しくて買った以上、落札者はほとんど同意してくれません。

以上から、競売の取り下げをできる最終日は、落札者が決まっていない最後の日、つまり開札日の前日となります。

【競売の取り下げに必要な手続き】

競売を取り下げるには、競売の申立てをした人(通常は債権者)が、競売を申し立てた裁判所に「取下書」という書類を提出しなければなりません。

取下書の作成難易度は低いですが、競売の申立時に使った印鑑を使う必要があるため、競売の申立てをした債権者でなければ取下書の作成はできません。

印鑑が異なる場合は印鑑証明書を添付する必要があります。

また、登録免許税として、物件1つにつき1000円を納付する必要があります。

競売を申し立てるのは様々なノウハウがある保証会社であることが一般的です。

そのため取り下げの手続きにも慣れていることが多いですが、社内の稟議や調整などにある程度の時間がかかる可能性があるため、ギリギリまで任意売却に踏み切らなかった場合などは、取り下げが間に合わなくなるおそれがあります。

⑵ 早く競売を取り下げてもらうには

「住宅を任意売却してもいい」という合意を債権者から得ても、競売の取り下げが行われない限り、債務者は不安で仕方ないはずです。

一刻も早く競売を取り下げてもらうには、任意売却を早く完了することが大切です。

競売よりも任意売却が先に終われば、債権者は競売に頼る必要がなくなります。

しかし、任意売却で買い手を見つけても、債権者がギリギリまで取り下げを行わないことがあります。

例えば債権者が「もっと高く住宅を買ってくれる人が現れるのではないか?」と待っているような場合です。

このような場合でも、任意売却で住宅を売ってしまえば、別の買い手が現れることもありません。

そのため、任意売却の完了はとても重要と言えます。

最低でも競売開札日の2日前には任意売却を完了させることをおすすめします。

そうすれば、仮にその翌日に債権者が取り下げを行ってもギリギリで間に合うからです。

4 任意売却の決断はいつまでにするべき?

任意売却に期限があることは上記の通りですが、では、いつどの時点で任意売却に向けての行動を始めるべきなのでしょうか?

これに関しては「早ければ早いほど良い」と言えます。

「このままではローン完済の見込みがない」と分かった時点で任意売却を検討し始めて構いません。

競売開始決定前から動いても一向に問題はないのです。

実際に動き出すリミットとしては「裁判所による現況調査が行われた直後」だと考えてください。

これより遅くなると、債権者が任意売却の合意をしてくれても、買い手を見つけるのに手間取っただけで競売の取り下げ期限に間に合わなくなる可能性が高くなります。

できれば競売開始決定通知を受け取った翌日には動くことをおすすめします。

なお、実は債権者は競売を申し立てるときに50万~100万円以上の費用を前もって裁判所に納めており、この費用は後で債務者が負担する必要があります。

競売の取り下げ時期が早いほど多くのお金が債権者に返還されるため、債務者の最終的な負担も軽くなります。

5 競売開始決定通知が届いたらすぐに任意売却の検討を

競売にはデメリットが多いです。

競売開始決定通知が届いた時点で競売へのカウントダウンが始まっているので、すぐにでも任意売却の方法へ舵を切ってください。

しかし、任意売却の詳細を知らない人が大半だと思います。

また、借金問題をトータルで解決するには、任意売却だけでなく債務整理も検討する必要があるでしょう。

そういった場合はまず弁護士にご相談ください。

弁護士法人心の弁護士は、任意売却も含め、どのように債務整理をすべきかを考えて、最善の方法を提案します。

早く弁護士に相談すれば、その分早く住宅ローンを含めた借金問題を解決できます。

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